5. 産業
アムステルダムを出て数分もしないうちに、広大な牧草地が目に入ってきます。牛や羊、馬などがゆったりと草を食み、その向こうには、じゃがいも畑や小麦畑が果てしなく続きます。アールスメーアやエンクハウゼンに近い地域では、花卉球根の栽培が盛んで、温室がずらりと立ち並ぶ光景も目につきます。農業人口は全就労人口の6%ですが、酪農や農業は盛んで、農業製品は全輸出額の 20%に上り、国家経済の基盤をなしています。
一方、第2次世界大戦後、盛んな設備投資により、鉄鋼や重化学、石油精製等の工業が発展し、今では全輸出の半分以上を工業製品で占めています。天然資源にも比較的恵まれ、北部フローニンゲン州に天然ガスが産出し、北海の石油と合わせて、エネルギーはほぼ自給できる状態にあります。
またインフラストラクチャーの面では、世界最大のロッテルダム港を抱え、拡張を続けるスキポール国際空港も、貨物の取り扱いではヨーロッパ第四位を占めます。
縦横に巡らされた水路は輸送路としても活用され、ライン川を遡ればドイツ工業地帯を通過しスイスまで行けます。高速道路と鉄道網も良く発達しているため、運輸はオランダ経済に大きな位置を占め、オランダはヨーロッパ大陸の流通拠点、つまり「ヨーロッパの玄関口」としての役割を担っています。