11.4 その他の税金
その他の税金
- 個人所得税のほかに課税されるその他の税金について、代表的なものを記載します。居住する州や基礎自治体(Gemeente)ごとに内容が異なりますので、実際にはホームページ等を参照の上詳細を確認する必要があります。
- なお、課税される税金は、自治体から送付される請求書等に基づき、オンライン支払い、口座振り込み、自動口座振替設定、デビットカード等により支払うこととなります。現金での支払いはできない可能性がありますのでご留意ください。
- 環境保護税
環境保護に関連して、主に以下のような税金が課される可能性があります。
- 堤防保護税 (waterschapsbelasting)
堤防や水路の維持、水の管理や浄水を目的として課税されるものです。水道局を通じて徴収されます。
- 廃棄物収集税(afvalstoffenheffing)
家庭廃棄物の収集と処分を目的として徴収されるもので、原則として不動産を使用する居住者に課されます。居住している人数により金額が算出されます。
- 下水道利用税(rioolheffing)
不動産の所有者には下水道の接続に一定の税金が課されます。また、多くの水を使用する場合には、不動産の所有者もしくは居住者に、水の使用量に応じた税金が課されます。
- エネルギー利用税
電気や天然ガスの使用に対して課税されます。エネルギー供給業者が税金を納付し、その税金を顧客に徴収する場合があります。
- 自動車税
自動車の購入時には、自動車税が課されます。
- ギャンブル税(Kansspelbelasting)
一定の金額を超える宝くじの当選や、カジノゲームでの獲得賞金に対して課税されます。
- 固定資産税(onroerendezaakbelasting, OZB)
固定資産税は、土地や建物の所有者に課されるものと、それを使用する居住者に課されるものがあります。居住者に課されるものについては、事業用不動産の使用者にのみ課され、居住用不動産の使用者には課されません。不動産の公正評価額(WOZ値)に、定められた税率を乗じて算出されます。
- 犬税(Hondenbelasting)
居住する基礎自治体(Gemeente)によっては、飼っている犬の数により課税されることがあります。
- 社会保障制度
- 制度概要
- オランダにおける現行の社会保険制度は次の二つに分かれます。なお、日蘭社会保障協定が2009年3月1日に発効して以来、原則として赴任期間が5年以内の日本人一時派遣者は手続きを行えばオランダ社会保険への加入が免除となりました(日蘭社会保障協定に関する詳細は後述)。
- 国民社会保険制度(すべてのオランダ居住者及び非居住納税者に適用)
- 被雇用者社会保険制度(給与所得者のみに適用される追加社会保険制度)
- 国民社会保険制度
- AOW(老齢年金)
- ANW(一般遺族年金)
- WLZ(長期特別医療保険)
- AKW (child support)
国民社会保険の掛金はすべて従業員負担になっており雇用主の負担分はありません。所得税と同一の算定基礎(課税標準)に基づいて計算され、税務当局によって一括して徴収されます。運営は社会保障銀行SVB(Sociale Verzekeringsbank) www.svb.nlが行っています。
- 被雇用者社会保険制度
- ZW(短期疾病保険)
- WW(失業保険)
- WIA(障害労働者所得補償保険)
- WGA(就労能力不十分者の生活保障給付)
· Sector Fund(産業基金)
· Surcharge on Sector Fund(産業基金付加金)
- ZVW(健康保険)
- オランダ社会保険の受給要件
① 老齢年金(AOW)
Ø 一般老齢年金法(AOW=General Old Age Pensions Act)では、老齢による経済的困窮に対して、オランダのすべての人が保障されています。67歳(2024年)に達していないすべての居住者(国籍にかかわらず)が強制的に保険料負担の対象となっている国民保険です。 なお、寿命の延伸とともに基準となる年齢は引き上げられています。
Ø 17 歳から 67 歳までの保険期間中、保険料納付1年につき 2%の権利が積み上げられていき、有資格期間が 50 年間で満額受給できます。
Ø 年金は、受給者が 67歳に達した月(の初日)から支払われます。受給者が死亡した時点で、手当の支払いは停止されます。年金は海外に移住した場合にも取消とはなりません(ただし、日蘭社会保障協定によりオランダ国民社会保険に加入しなかった場合は不適用)。
② 一般遺族年金(ANW)
Ø 遺族年金は、未亡人・親を無くした子供等(18歳未満)の遺族に支払われるものです。死亡した者が死亡時点で ANW の掛金を支払っていることが要件です。
③ 長期特別医療保険(WLZ)
Ø 長期特別医療保険は、健康保険でカバーされないような長期で重度の病気のリスクに対する保険です。病院介護、外来介護、自宅介護、リハビリテーション、精神病医療等を含みます。
④ 児童手当(AKW)
- 18歳未満の子供を持つ養育者は、所得に制限されず児童手当を受け取ることができます。手当の金額は年齢とともに上昇し、四半期毎に約300ユーロです。
⑤ 短期疾病保険(ZW)
- 短期疾病保険は、発病後最初の2年間について給与の70%の支給を保証するものです。2年間の疾病期間を経過すると身体障害者となり、WIAに加入することができます。
⑥ 失業保険(WW)
Ø 失業保険法(WW = Unemployment Benefit Act)は、67歳未満の従業員が、個人の責任以外の理由で失業した場合の経済的困窮に対する保険です。継続して働いた人は、決められた期間の間、日給総額の75%が法定最高賃金を上限として支給されます。その他の人または失業が長期にわたるときは、法定最高賃金の70%を上限として日給額の70%が支給されます。
Ø 支給額は年齢および失業時の雇用期間により異なります。受給期間は最長24ヶ月です。
- WIA(障害労働者所得補償保険)、WGA(就労能力不十分者の生活保障給付)
- 障害労働者所得補償保険(WIA)は、従業員がZWの給付を受ける権利を有する2年間の傷病期間後の障害に対して所得保証をするものです。支給額は障害の程度により異なり、完全な障害者(障害の割合が80%超)で回復の可能性が低い場合にWIAが支給されます。当該障害者は傷病前の給与の75%を受け取ることができます。
- 部分的に障害を負った従業員や回復の可能性がある従業員に対しては、WGAが障害による給与減少額の一部を保証します。